上新井くろかわクリニック 黒河圭介

上新井くろかわクリニック院長 黒河圭介のブログ

コロナワクチン接種後の抗体価の変動について

コロナワクチン接種後の抗体価の変動について     

                                                                              上新井くろかわクリニック 黒河圭介

 

・当院の職員(全員がファイザーワクチンコミナティー2回接種)のうち希望者に抗体検査を2回行った。 

・接種日 1回目 4月後半 2回目 5月上旬

・1回目の抗体価検査 7月中旬 (つまり接種完了後2か月程度で最も抗体価が高い時期)

・2回目の抗体価検査 10月中旬 (接種完了後5か月程度)

 ・検査は、保健科学 CLEIA法 抗体検査(IgG) 

*基準値、10AU/ml以下が陰性、 10AU/ml以上は陽性と判断される。

 

・対象:上新井くろかわクリニック職員 27人(男性9名 女性18名)29歳~68歳(平均年齢51.9歳)

 

結果

・1回目(接種完了後2か月)の抗体価 14.1AU/ml~608.8AU/ml 平均156.0AU/ml 

 *かなりばらつきはあったものの全員が基準値 10AU/ml以上の陽性であった。

・2回目(接種完了後5か月)の抗体価 4.3AU/ml~101.2AU/ml 平均30.4AU/ml

 *全員の抗体価は減少し、27名中7名は基準値 10AU/ml未満の陰性化していた。

 *減少率は、平均 156.0AU/ml → 30.4AU/ml 19.5% ほぼ五分の一に減少。

 *2回目(接種完了後5か月)の検査で抗体価が基準値 10AU/ml未満の陰性化していたものは、1回目の検査(接種完了後2か月)の検査で、もともと14.3AU/ml~57.2AU/mlと低い抗体価であり、7名中6名は50代~60代の中高齢者であった。

 

考察

*ワクチン接種完了後2か月→5か月で抗体価は、ほぼ五分の一と激減した。

*27名中7名(25%)の者の抗体価は、基準値以下の陰性となった。

*抗体価が陰転化したものは、もともと抗体価の上昇が少なかった中高年(50歳以上)であった。

*ただ陰性になったからと言って、ワクチン接種前と同様にコロナに感染しやすい、重症化しやすいというわけではなさそうで、感染率、発症率、重症化予防率という面でワクチン接種によってかなり効果は残存しているものと推察する。

*現状すべての日本人が行っているマスク、手洗い、密予防、換気などの感染予防は今後も同様に行っていくべきと考える。

*50歳以上の者については、ワクチン接種完了後の感染(いわゆるブレイクスルー感染)を防ぐ意味で、できるだけ早めの3回目の接種が望ましいと考える。