上新井くろかわクリニック 黒河圭介

上新井くろかわクリニック院長 黒河圭介のブログ

夏目漱石 坊ちゃん

  親譲 (おやゆず ) りの 無鉄砲 (むてっぽう ) で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど 腰 (こし ) を 抜 ( ) かした事がある。なぜそんな 無闇 (むやみ ) をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が 冗談 (じょうだん ) に、いくら 威張 (いば ) っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と 囃 (はや ) したからである。 小使 (こづかい ) に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな 眼 ( ) をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす 奴 (やつ ) があるかと 云 ( ) ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。


卒業してから八日目に校長が呼びに来たから、何か用だろうと思って、出掛けて行ったら、四国辺のある中学校で数学の教師が入る。月給は四十円だが、行ってはどうだという相談である。おれは三年間学問はしたが実を云うと教師になる気も、 田舎 (いなか ) へ行く考えも何もなかった。もっとも教師以外に何をしようと云うあてもなかったから、この相談を受けた時、行きましょうと 即席 (そくせき ) に返事をした。これも親譲りの無鉄砲が 祟 (たた ) ったのである。


ぶうと 云 ( ) って汽船がとまると、 艀 (はしけ ) が岸を 離 (はな ) れて、 漕 ( ) ぎ寄せて来た。船頭は 真 ( ) っ 裸 (ぱだか ) に赤ふんどしをしめている。 野蛮 (やばん ) な所だ。もっともこの熱さでは着物はきられまい。日が強いので水がやに光る。見つめていても 眼 ( ) がくらむ。事務員に聞いてみるとおれはここへ降りるのだそうだ。見るところでは 大森 (おおもり ) ぐらいな漁村だ。人を 馬鹿 (ばか ) にしていらあ、こんな所に 我慢 (がまん ) が出来るものかと思ったが仕方がない。 威勢 (いせい ) よく一番に飛び込んだ。 続 ( ) づいて五六人は乗ったろう。外に大きな 箱 (はこ ) を四つばかり積み込んで赤ふんは岸へ漕ぎ 戻 (もど ) して来た。 陸 (おか ) へ着いた時も、いの一番に飛び上がって、いきなり、 磯 (いそ ) に立っていた鼻たれ 小僧 (こぞう ) をつらまえて中学校はどこだと聞いた。小僧はぼんやりして、知らんがの、と云った。気の利かぬ 田舎 (いなか ) ものだ。 猫 (ねこ ) の額ほどな町内の 癖 (くせ ) に、中学校のありかも知らぬ 奴 (やつ ) があるものか。ところへ 妙 (みょう ) な 筒 (つつ ) っぽうを着た男がきて、こっちへ来いと云うから、 尾 ( ) いて行ったら、港屋とか云う宿屋へ連れて来た。やな女が声を 揃 (そろ ) えてお上がりなさいと云うので、上がるのがいやになった。門口へ立ったなり中学校を教えろと云ったら、中学校はこれから汽車で二里ばかり行かなくっちゃいけないと聞いて、なお上がるのがいやになった。おれは、筒っぽうを着た男から、おれの 革鞄 (かばん ) を二つ引きたくって、のそのそあるき出した。宿屋のものは変な顔をしていた。

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 わしの最も好きな作家は、渡辺淳一であるが、2番目に好きなのは北杜夫であり、その次に好きなのは、夏目漱石なのだ。 その夏目漱石が1906年(明治39年)に発表した坊ちゃんという小説は今もまだ多くの人に読まれる名作なのである。 

 今日は、夏目漱石の坊ちゃんのゆかりの愛媛県松山市道後温泉に皆でやってきた。

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広島から松山へは、フェリーで2時半ほど。 船に乗ると僅かばかりであったが昔の海上自衛官の思い出がよみがえる。。。

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明治の昔、夏目漱石がこれに乗って松山から道後温泉に通ったという蒸気機関車

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由緒正しい道後温泉。。。  たたずまいがとてもいい。。。

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これに乗って街を散策。

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足湯につかって、疲れを癒し、、、

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旅館の料理を頂いて、今日はおひらきとなったのである。。。。。

明日は、所沢に帰りまた日々の生活が待っておる。。。。