上新井くろかわクリニック 黒河圭介

上新井くろかわクリニック院長 黒河圭介のブログ

奇跡の90歳!

わしの母は、昭和7年生まれで現在満90歳となった。 広島で独居を続けておる。 元小学校教員であり、いまだにボケもせず頭はクリアーでたいへん口うるさい。

 

妹が近所に住んでおり、安否確認をしてくれておる。 わしは長男として母のそばにいてやることができず妹には一生頭が上がらない。

 

50歳代から糖尿病になりインスリンを打ち、年取ってからは数年前に腰椎の圧迫骨折となり、防衛医大同級生の廿日市で開業しておる重野先生の世話になった。 また白内障の手術は、広島学院の同級生中野眼科の中野先生にOPEしていただいた。

 

3年ほど前には大動脈弁狭窄症で広島市民病院でTAVIという手術をしていただいた。 TAVI ?? 足袋??? - 上新井くろかわクリニック 黒河圭介 (hatenadiary.jp)

 

1週間ほど前に妹から電話がかかり、母ちゃんが急な腹痛で市民病院へ運び、診察の結果腸が壊死を起こしており、これから緊急開腹手術をせんといかんということになるが、お兄ちゃん、どうしょ? と連絡があった。 どうするもこうするも、ほんまに壊死しとるなら、ほっといたら死ぬけ~ やってもらえ、と話した。

 

えっ??  なんで急に腸が壊死??  90歳じゃろ・・・ 開腹? 緊急OPE・・・

 

その昔、麻酔科医であったわしの常識からすると、こりゃ~ だめじゃ・・・ 葬式はいつになる? 休診するか? 代診の先生頼むか・・ という考えが頭の中を駆け巡った。

 

ドキドキしながら、妹からの電話を待っていたが、今手術が終わった・・ 小腸が壊死しとって何十センチか小腸を切り取った。 せん妄にもならず、わりとしっかりしとる。と連絡を受けた。

 

その後、母ともラインでのやり取りも可能となり、翌日にはベッドに座った。 2日後には廊下を歩いた。 3日後には水飲んだ。 4日後にはバルーンも外れた、と驚異の90歳は回復を続け、術後8日後の今日には五分がゆを食べた。もっと食いたいとラインしてきた。

 

が~~ん・・・ な~んと驚異の90歳。 医学の進歩がわしの常識を超えてすごいのか、それとも母の体力が驚異の90歳なのか??

 

ほんで、今日の連絡によると術後12日目の今週末にはなんと病院をオンだされる(退院)とのこと!!

 

わしの元麻酔科医の常識は、ガラガラと音を立てて崩れったのである。 

 

『もう90年生きたけ~、なんの思い残すことはない。』だの孫娘の連れ合いに『〇〇ちゃん(孫)のことをよろしゅう頼むね』 などとテレビドラマの見すぎのセリフを残して、OPE室に入ったらしいが、なんのなんのしぶとい90歳は、驚きの生還を成し遂げた。

 

3月19日からの連休では、2年ぶりに初めて母に合わせるひ孫3人を引き連れて総勢14人で広島の実家に行く計画であったが、この分だと予定通り行けそうなのである。

 

母ちゃん、よかったな。 もうちょっと長生きしてくれ。 でも、ぱっぱら星人になって寝たきりになるのだけは勘弁してくれよ。

 

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奇跡の90歳。開腹手術、小腸切除後7日目の母。