上新井くろかわクリニック 黒河圭介

上新井くろかわクリニック院長 黒河圭介のブログ

風のように・別れた理由

渡辺淳一先生は、札幌医大整形外科講師までされた立派なお医者さんであり、1970年に37歳で総理大臣寺内正毅をモデルとしたとされる『光と影』で第63回直木賞を受賞されたわしの最も尊敬する作家である。

 

最近、寝る前に渡辺先生のエッセイを読んで寝るのが習慣になっておる。

 

今から23年前の2000年に書かれた『感染と発病』という題のエッセイに次のようなことが書いてあった。

 

23年前の2000年に、O-157という大腸菌の一種が日本中で流行し、今のコロナほどでもないものの、日本中が大パニックになった。

 

感染と発病は違う。菌を持っているからといって皆発病するとは限らない。すべての病気に対して最も好ましいのは感染して発病しないことである。

 

ワクチンの効果はこの原理によっているが、できうることなら自然界のあらゆる病気に対してこのような状態でありたい。 そのためにはいろんな菌や病気がはびこっている自然界に人間を放置することである。今私たちの環境はあまりにきれいになりすぎたのかもしれない。それはすべての人々が望んだことであり、そのことで様々な病気や菌を葬り去ることができた。 しかしそれは新しい菌に対して無抵抗状態となり、将来新しい菌による広範な感染がおこるのではないか?

 

多少は汚く黴菌のいるところでも生きていけるようなたくましさを身に着けるべきである。

 

この文章が書かれたのが今から23年も前であることに驚くとともに、これまでの3年間のコロナ渦の反省とこれからの進むべき道が見えてくるのである。